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生命保険金と相続

043.jpg こちらのページでは生命保険金と相続に関してご説明いたします。

生命保険金と相続について

Aさんは、自ら契約者兼被保険者となって、死亡保険金3000万円の生命保険契約を締結し、受取人を長男Bと指定しました。
その後Aさんが亡くなり、法定相続人は長男Bと長女Cの2人です。

(1)Aさんは、事業に失敗して、金5000万円以上の借金があったため、BCとも相続放棄しました。
この場合、Bは、死亡保険金3000万円を受取れるでしょうか。
 
保険金の受取人が被相続人になっている場合は、民法上相続財産となりますので、相続放棄をすると、相続人は保険金を受取れません。
しかし、Aさんの事案では、受取人をBとしていますので、このような保険契約は「第三者のためにする契約」として扱われ(民537条1項)、相続財産に含まれないとされています。
したがって、Bが相続放棄をしても、死亡保険金3000万円を受取ることができます。

(2)Aさんは、受取人がBである生命保険金の外は、自宅である中古マンション(時価800万円相当)しか目ぼしい財産はありません。
BCが共同相続した場合、Cがもらえるのは、中古マンションの共有持分2分の1だけなのでしょうか。
 
死亡保険金は、実質的には、遺贈と同じようなものですから、Cが中古マンションの持分2分の1しかもらえないとすると、相続人間BC間で、不公平が生じます。
 
しかし、Aさんの事案では、生命保険金が相続財産ではありませんので、遺留分減殺請求権(注1)はありません。
 
では、特別受益(注2)として持ち戻しは、できないでしょうか。
 
判例(最決平成16・10・29-判時1884・41)は、共同相続人の1人又は一部を受取人と指定した養老生命保険について、原則として特別受益に含めないとしつつ、そのことによって共同相続人間の不公平の程度が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほど著しいと評価すべき特段の事情がある場合は、特別受益に準じて持戻の対象となるとしています。
 
なお、家庭裁判所の調停実務では、相続財産でない生命保険を持ち戻しの対象にする運用がされている所もあるようです。
 
(注1)-遺留分(一定の相続人に法律上留保された遺産の一部)を侵害された相続人が、侵害した財産受取人に対し、財産返還を請求できる権利や、未給付の財産引渡を拒否できる権利を、遺留分減殺請求権といいます。
 
(注2)-相続人の中で被相続人から生前贈与や遺贈を受けた人は、特別受益を受けたされることがあり、その受けた利益の限度で相続分を差し引いて各人の相続分を計算します。
これを「持戻」といいます。
         
(3)生命保険金と相続税について説明します。
Bが受取人の金3000万円の生命保険金は、民法上の相続財産ではありませんが、相続税法上は、相続または遺贈により取得したものとみなされます(相続税法3条)。
その場合の課税対象は500万円×法定相続人の数を超える部分です。
 
本件では、500万円×2人(BC)=1000万円を超える部分が、課税対象となります。
但し、遺産の基礎控除額は、
 
5000万円×1000万円×法定相続人の数なので、
 
Aさんの事案では、基礎控除額が
 
5000万円×1000万円×2=7000万円となります。
 
したがって、Aさんの遺産(この場合の遺産にはBのもらう生命保険金や相続債務を含みます)の相続税評価額が7000万円を超えなければ、相続税は課税されません。
 
なお、BCが相続放棄をしても、生命保険金は税法上、相続財産とみなされ、Bは、相続税の納税義務を負い、しかも、前記の非課税額(1000万円)は適用されませんので、Bが相続放棄した上で受取る生命保険金は、全額が相続税の課税対象となります。
 
しかし、Aさんの事案でBがもらう生命保険金は金3000万円で、基礎控除額の範囲内なので、相続税はかかりません。

(4)生命保険契約等の基本的ルールを定めた保険法が、2010年4月から施行されました。
 
この保険法では、遺言で保険金の受取人を変更できる仕組みが制度化されました(但し2010年4月以上に契約した保険を対象)。
従来受取人の変更は、保険会社で手続する必要があり、遺言で受取人の変更ができるかどうか判例も見解が分かれていました。
今後は遺言で家族に知られず受取人を変更できることが明確になったわけです。

 

 

相続コラムは以下のページをご覧ください。

生命保険金と相続

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